2015年05月08日

ゴーヤーの日にドイツを想う

 5月8日といえば、沖縄ではゴーヤーの日。ヨーロッパでは戦勝記念日に当たる。ナチス・ドイツが無条件降伏し、第2次世界大戦の欧州戦線が終結した日だ

 戦後40年を迎えた1985年のこの日、当時のワイツゼッカー独大統領が「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる」という歴史的な演説をした。50分間で18回も「5月8日」と述べ「非人間的な行為を心に刻むための日だ」と強調した

 ユダヤ人600万人の虐殺、ソ連・ポーランドの犠牲者、同性愛者・精神障がい者・抵抗運動者らの殺害…。自国が犯した罪を一つ一つ具体的に挙げて反省した。その誠実さが世界から評価され、周辺国との和解も進んだ

 「過去への責任はドイツ人全員が負う」との覚悟は今も引き継がれているメルケル首相は今月「歴史に終止符はない」と過去と向き合う決意をあらためて示した

 日本はどうか。8月の70年談話に世界が注目する中、肝心の安倍晋三首相は歯切れが悪い。「痛切な反省」には触れるが、「侵略」「おわび」は再度書く必要がないとの立場だ。侵略戦争否認が持論の首相は、歴史の鏡に正面から向き合わず、逃げ腰の姿勢が透けて見える

 30年前に負の歴史と対峙(たいじ)した元大統領はこう説く。「心に刻むことなしに和解はあり得ない」。心に刻むことを怠ってきた日本の為政者にとって、重い言葉だ。
(琉球新報5/8、記事原文はこちら



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