9条信者も 沖縄踏みつけ

ミチさん

2015年05月04日 20:03

9条信者も 沖縄踏みつけ
谷口真由美さん(全日本おばちゃん党代表代行)

 防衛協力指針(ガイドライン)の改定を日米が合意し、名護市辺野古への新基地建設も日本政府は依然として「唯一の解決策」との方針を示す。法学者で、全日本おばちゃん党代表代行の谷口真由美大阪国際大学准教授に聞いた。(聞き手・琉球新報 島洋子)

 ―安保法制に先行して日米防衛協力指針が再改定された。どう見たか。
 「自衛隊の活動拡大という国民的論点だが、安倍政権は同意形成のプロセスを勝手に変えた。国会の審議すらすっ飛ばし、日米首脳で決めてしまった。国会はこんなに軽視されても問題にしない。メディアは難しい安保法制を分かりやすく伝えていない。為政者の思うつぼだ。憲法改正もたやすいと思うだろう。国民は気付いた時にはもう遅いという状況になっている」

 ―安倍政権が進める名護市辺野古での基地建設をどう考えるか。
 「菅義偉官房長官は16年前に知事、市長の合意を得たと言っているが、その時と前提条件が変わっている。15年使用期限などなし崩しだ。それなのに『粛々』はないやろ。そもそも翁長知事の誕生で沖縄は変わった。他者の前提は無視して、自分たちの前提条件を押し付ける。子供じみている。成熟社会ではない」
 「原発だって、福島第一原発事故後は安全という前提条件は変わったのに無視している。メルケル独首相は福島を見て脱原発に政策を変えた。リーダーは過ちを認め方向転換する気概がないと。辺野古の新基地も同じだ」

 ―沖縄の基地問題をどう見る。
 「沖縄ならいいけど、自分のところに基地が来るのは嫌っていうのは差別だと本土の人間は気付かなきゃ。鳩山由紀夫元首相が『最低でも県外』って言った時、大阪の橋下徹知事だけが手を挙げた。私は橋下氏をその点では評価した。結局、話は消えちゃったが。沖縄の基地は県外に持っていけばいい。そうしたら国民みんなが当事者になる。そもそも『沖縄問題』っていう点がいやらしい。沖縄だけを当事者にして議論を矮小化させ目を背けている。『基地問題』と言って日本全体の安保の問題にしなければならない
 「私は憲法9条を守ろうと言う9条信者に言ったことがある。 『沖縄を踏み続けた上での9条は不完全だ』 と。本土の大多数は沖縄に無関心。だからこそ沖縄は基地負担がしんどいとか苦しいとか素朴な気持ちをもっと訴えていい。感情が人を動かすこともある。若者らいろんな世代から発信してほしい」
(琉球新報5/4、連載「沖縄 辺野古 女の視点(1)」より)


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