仲宗根政善先生から学ぶもの

ミチさん

2011年02月21日 02:13

沖縄についてより深く知りたい人
沖縄のことがなぜか気になる人
沖縄がどうして好きなのか知りたい人

ETV特集「深く掘れ 己の胸中の泉 沖縄学のまなざし」(2/20放送)は、そんな思いを持っている人に答えてくれる。

ああそうだったのか、だからわたしは沖縄に魅せられるのだと。


ここでいう『沖縄学』とは“沖縄の心”にせまる学問だ。

近代以前、異民族の支配を受ける前の沖縄の人たちの心を読み解こうと、沖縄の万葉集にあたる神謡『おもろさうし』を研究した伊波普猷(いはふゆう)。

「沖縄を知ることが、自信につながる。沖縄を知るには、まず沖縄の古い言葉から研究せねば!」

それは皇民化政策の下、まさに消えようとしていた沖縄語をひとつひとつ拾い集める取り組みだった。

そして言葉は文化そのものであり、それを失うことは沖縄人が沖縄人でなくなることを意味することに気づく。日本社会で沖縄人が蔑まれていた100年前のことだ。


番組は『沖縄学』を切り拓いた伊波普猷と同じ東京帝大に進み、彼を師と仰いだ、今帰仁村出身の仲宗根政善の足跡を丹念に辿る。




政善の原点は2つある。
ひとつは伊波普猷との出会いであり、もうひとつは沖縄戦での戦場体験だ。当時彼は沖縄師範学校女子部の教師であり、ひめゆり学徒隊の生徒たちと行動を共にしていた。喜屋武海岸で引率していた生徒たちと集団自決寸前まで経験している。
多くの若い命を救えなかった自責の念に苦しみながら、『おもろさうし』の研究を通して、沖縄が沖縄自身を取り戻さない限り沖縄の人たちの不幸は終わらないことを確信する。


敗戦から2年後の1947年、伊波普猷は71歳でこの世を去るが、
浦添城跡にある彼のお墓の顕彰碑に、政善たちはこう刻む。

彼ほど沖縄を識った人はいない 

彼ほど沖縄を愛した人はいない

彼ほど沖縄を憂えた人はいない 

彼は識ったが為に愛し

愛したために憂えた 



彼は学者であり愛郷者であり予言者でもあった




どうして伊波普猷が予言者なのか。

彼が亡くなる5ヶ月前に書き残した最後の著作『沖縄歴史物語』で、彼は次のように結んでいる。

「地球上で帝国主義が終わりを告げる時、沖縄人は「にが世」から解放されて「あま世」を楽しみ十分にその個性を生かして、世界の文化に貢献できる」



礼節を重んじ
武器を持たないことで敵をつくらず
花鳥風月を愛でる
そんな沖縄人のアイデンティティこそが、人類に貢献できるとわたしには読めるのだが。


【関連する日記アーカイブ】
2011.02.20 おススメTV:ETV特集 「沖縄学のまさざし」

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