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2010年10月18日

この人に注目!(8) 親川志奈子さん

昨日の琉球新報と沖縄タイムスに同時にこんな記事が載った。
共同通信の配信記事だから他紙でも読まれた方もおられるでしょうが紹介します。

 
(琉球新報10/17)


記事によると南アジア(インド山岳地帯)にはチベット・ビルマ語族に属するものだけでも約400の言語があるというからすごい。
このコロ語はその400の中にも入っていなかったというから新種だね。

でも新種とか記事の中でも使われている“発見”という言葉も考えてみるとおかしい。
コロ語を現在も話している約800人の人たちにとってはめずらしいものでもなんでもない。私たちが認知していなかっただけのことだ。世界史の教科書の「コロンブスの大陸発見」のあれだね。

このコロ語も若い世代には受け継がれていないらしいから、やがては消えてしまうかもしれない。
これまでにも世界のいたるところでこうした文字を持たない少数民族の言語が数え切れないほど消えていった。


きょうから名古屋でCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の公式会議が始まった。
最近の動きを見ているとなにか経済会議(南北問題)のような気がしてくるが、生物多様性条約の目的のひとつに「生物の多様性の保全 」がある。自然界でその生存がピンチになっている絶滅危惧種の生き物たちを人類の英知で何とか守ろうというというねらいだ。いったん地球上から消えてしまえば再生することはない。だからそれが人類の役に立とうが立つまいが消してしまってはいけないのだ。

目を転じると、少数民族・部族が使っている言葉にも同じことが言える。
これまでその部族のくらしや文化を豊かにしてきた言葉。いや言葉は文化そのものでありくらしそのものだ。
こちらは人類の英知を集めなくていいのだろうか。


そんなことを考えていたら、今朝の沖縄タイムスのコラム「唐獅子」親川志奈子さんがこんなことを書いていた。

 (沖縄タイムス10/18)


母語でも外国語でもない言葉を「継承語」という絶滅が危惧される文化遺産と位置づけよう。
その「継承語教育プログラム沖縄版」がいまこそ必要でないかと彼女は提案する。


表題の“この人に注目!”はもうひとつの拙ブログの「地元紙で識(し)るオキナワ」で使っているもの。沖縄に住むようになって多くのよき人たちとの出会いがありました。そのなかでも「沖縄を引っ張っているなー」と思った人をみなさんに伝えたくて紹介しています。あくまでも私のモノサシです。私が引っ張られているなーかもしれません。

これまで7人の人たちを取り上げました。興味のある方は見てください。
2010/10/04 この人に注目!(7) 新崎盛暉さん
2010/08/24 この人に注目!(6) 川瀬光義さん
2010/07/01 この人に注目!(5) 西脇尚人さん
2010/06/29 この人に注目!(4) 佐藤 学さん
2010/06/07 この人に注目!(3) 目取真 俊さん
2010/05/28 この人に注目!(2) 森口 豁さん
2010/04/20 この人に注目!(1) 知念ウシさん


ああそうそう 上で紹介した親川志奈子さんの「唐獅子」は今回が第8講になります。
過去の分も読んでみたいという方はコチラ(ただミクシーサイトなので誰でも読めないかも。リクエストしていただけたらここに追記・転載します)。サイドバーにあるお気に入りの「SHINAKOSAN IS OKINAWAN」でも読めます(さがさなあかんけど)。
2010.10.04 外に出てわかること shinakosan vol 6・ vol 7をまとめて
2010.09.06 shinakosan vol 5 『しまくとぅばの価値』
2010.08.23 shinakosan vol 4 『お盆 と しまくとぅば』
2010.08.09 王国を奪われ、土地を奪われ、言葉を奪われ・・・
  


Posted by ミチさん at 14:35Comments(0)しまくとぅば

2009年11月20日

口髪(くちからじ)やまち

 髪は頭の意。

 この言葉は、親が子供をしかる(しつける)際に小言を言い続けて疲れる、

心身ともに悩み苦しむ様子を表します。

アンマーたちが子供をしかったりしつける時に使っていました。

私も「じーかじちかんぬー」(何度注意しても一向に反省の色が見えない)でしたので、

母はいつも心労して

「アーア」(ため息をつく)していました。


口髪(くちからじ)やまち

あまた寄言(ゆしぐとぅ)ん

肝(ちむ)に思(う)み染(す)まん

腕白小僧(うーまくわらばー)



( 山内範正・県うちなあぐち会名護支部副会長、“ちゅくとぅば”⑦、沖縄タイムス 11/19)
=おわり



執筆者については
http://michisan2.ti-da.net/e2865412.html
  


Posted by ミチさん at 18:32Comments(0)しまくとぅば

2009年11月20日

天(ていん)と―目当(みやー)てぃ

 「天とー目当てぃ」とは、天と空を目当てに行動する、の意。

 基盤型の汀間集落はフクギ垣で被われて、昼でも薄暗いほどでした。

暗闇の夜道は一歩も見えず、

ハブがいるのでは、

幽霊が・・・と

恐るはぬ 目ぐるぐる ひちょーてぃ」(恐いので、目をキョロキョロさせて)フクギのすき間から見える、

明るい天、

空を見上げて一目散に走ったことでした。


汀間(ていま)ぬすーじ道や

フクギ打ち被(かん)てぃ

暗闇ぬ夜道(ゆみち)

天とー目当て(みーやてぃ)



( 山内範正・県うちなあぐち会名護支部副会長、“ちゅくとぅば”⑥、沖縄タイムス 11/18 )


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Posted by ミチさん at 18:18Comments(0)しまくとぅば

2009年11月20日

くーん

 軍作業での話。

 ヤンバル(山原)青年と中頭(なかがみ)青年が組んで盗み食いをしていたそうです。

見張り番をしていた山原青年が

「アメリカ(兵)が『くーんど』」

と伝えると、中頭青年は安心しておいしいお菓子を食べ、そこを現行犯で捕まえられたそうです。

 「くーん」は、山原では来る、中頭では来ない、と意味は正反対。

捕まえられた中頭青年は始末書を書かされたそうです。


面白(うむ)さ可笑(うか)さる「くーん」やいびーたん



( 山内範正・県うちなあぐち会名護支部副会長、“ちゅくとぅば”⑤、沖縄タイムス 11/16)


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2009年11月20日

孫小(うまがぐわー)と馬小(うまぐわー)

 看護師の娘が勤めている病院での話。

入院しているおばあさんの病室に2、3日おきに見舞いにきていた孫たちが最近見えないので、娘が

「おばあ、このごろ馬小たちは見えないね」

と話しかけると、おばあは

「うちは馬小はいないよ」

と言ったそうです。娘が

「だって、よくお見舞いに来ていたさー」

と続けると、そこで気づいたのか、おばあは

「馬小ではなく孫小だよ」

と教えてくれたそうです。


( 山内範正・県うちなあぐち会名護支部副会長、“ちゅくとぅば”④、沖縄タイムス 11/15)


・・・・・・・ 転載ここまで ・・・・・・・

沖縄ではモノや名前の最後に接尾語の「小(gwaa)」をつけて、かわいらしさや愛しさ、小ささなどを表します。まちぐわー(市場)、ねーねーぐわー(年下のおねえさん)、ぼうしぐわー(ぼうし)など。総称として小さい、子供、子、可愛い、愛しい、憎めない、恥じらいなどの表現で、発音の強弱によって意味が変わります。


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Posted by ミチさん at 17:50Comments(0)しまくとぅば

2009年11月20日

ウンメーとパッパー

 小学生のころの日記はヤギの草刈でした。

ある日、青々とした草を見て、近くにいたおばあさんに

「パッパー、この草を刈っても良いですか」

と話しかけると、

「誰にパッパーと言っているのか」

と大声でしかられました。

 どうしてしかられたのかがわからなくて、その晩、祖父に尋ねると、

「士族のおばあさんにはウンメーと言い、百姓のおばあさんにはパッパーと言うんだよ」

と教えてくれました。 


( 山内範正・県うちなあぐち会名護支部副会長、“ちゅくとぅば”③、沖縄タイムス 11/14)


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Posted by ミチさん at 16:20Comments(0)しまくとぅば

2009年11月19日

黒綱ん朽す女親ぐくる

 黒綱(くるちな)とは、木綿糸を幾本もよりあわせた、綱の豚の血をしみ込ませて蒸したもの。黒光りして強く、腐れにくい。

 一方、女親ぐくる(いなぐうや心)とは、母親の強い精神力、信念、いかなる苦難にも耐えぬくたくましさとしたたかさ。

 すなわち、子供のためには、いかなることにも屈することなく、物事を貫くという母親の「意地」を表す意。


(な)し子(ぐわ)(たみ)とぅ思(み)ば

黒綱(くるちな)ん朽(くた)

女親(いなぐうや)ぐくる

意地(いじ)り深さ


( 山内範正・県うちなあぐち会名護支部副会長、“ちゅくとぅば”②、沖縄タイムス 11/13)


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2009年11月14日

ピギャーぬ鳴いねー台風ぬくん

 「ピギャーぬ鳴いね」とは、東海岸の海鳴の音。

東海岸でゴーゴーと海鳴がすると台風が来る、

その音は山を越えて羽地間切(はねじまぎり)までも聞こえる 

と祖父が語っていました。


 まさかそんな遠くまでも聞こえるはずがないと、

大宜味村の塩屋、羽地、許田の方々に尋ねたら、

昔から言われている、とのことでした。

 
 
ピギャー海ぬ鳴らば
   
台風(てーふー)ぬ知らし事(ぐとぅ) 
  
羽地間切まで 
  
(うとぅ)ぬゆすさ

( 山内範正・県うちなあぐち会名護支部副会長、“ちゅくとぅば”①、沖縄タイムス 11/12 )


・・・・・・・ 転載ここまで ・・・・・・・

山内範正さんが生まれ育った名護市汀間(現在も住んでおられる)は

普天間飛行場の移転先に名指しされている

名護市東海岸、大浦湾に面した静かな集落です。

対岸の辺野古にいま巨大米軍基地が作られようとしています。


朝夕眺めている大浦湾に思いを走らせて、こんな琉歌も詠まれています。

(あが)りあかあかとぅ 
  
上ゐ太陽(てぃだ)(か)みてぃ 
  
かりゆしぬ夜明(ゆあ) 
  
大浦湾(うぷらんなとぅ)

(山内範正、平成12年8月25日、「かりゆし大浦湾」より)

    (注釈)かりゆし=めでたいこと、 縁起がよいこと


ヘリポートの移設を詠む

普天間ぬ空(すら)
 
弥勒(みるく)あかがりば 
 
名護(なぐ)ぬ島影(しまかじ)
 
(くむ)てぃいちゅさ

(山内範正、平成12年2月26日、琉球新報掲載)

    (注釈)弥勒=世果報(ゆがふ)、明るい兆し



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Posted by ミチさん at 22:28Comments(0)しまくとぅば

2009年01月09日

『注射 サセル』

 ウチナーヤマトゥグチで 「風邪ひいているから、病院で注射サセタ(してもらった)」と言いますが、標準語では、私がお医者に指示して、お医者さんが注射したという意味になります。

 方言では、やりもらいの表現「してあげる、してくれる、してもらう」が発達しておらず、
「してもらう」は「シミユン(させる)」で表現します。

 ウチナーヤマトゥグチも方言の意味を引き継いで、「サセル」になります。

 大学生もよく「先生に書カセタ」のように使います。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑮(最終回)、沖縄タイムス 1/8 )
  


Posted by ミチさん at 22:30Comments(0)しまくとぅば

2009年01月08日

『アソンデアルク』

 ウチナーヤマトゥグチの「アルク」 は、多義的です。

 標準語と同じ 「歩く」の意味のほかに、「大学アルク(通っている)」「海アルク(漁をなりわいとする)」のように使われます。

 さらに、「シテアルタ」 の形で、「仕事しないで アソンデアルク(遊びまわっている)」
「悪口 イッテアルイテイルヨ(言いふらしているよ)」のようにも使われています。

 方言の 「アッチュン」 の意味が広いため、それをそのまま引き継いだ表現です。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑭、沖縄タイムス 1/7 )
  


Posted by ミチさん at 22:00Comments(0)しまくとぅば

2009年01月07日

『ノミヨッタ』

 方言には「飲んだ」に対して 「ヌダンヌムタン」のように過去形が2つあります。

 ウチナーヤマトゥグチの「ノミヨッタ」は方言の「ヌムタン」の意味を表す形です。

 「太郎は隠れてお酒ノミヨッタ」は、飲むのを実際に見たという意味になります。

 私(話し手)が直接確認したことを表すので、自分のことには使えません。

 標準語の「飲んだ」はこの意味を表現できませんから、私が直接確認したことをはっきり表す、この特別な形は便利で、よく使用されます。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑬、沖縄タイムス 1/6 )


  


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2009年01月06日

『タベキレル』

 ①「太郎は5人分の料理を1人でタベキレル」
 ②「太郎は納豆タベキレル」 のような2つの文。

 ウチナーヤマトゥグチでは、食べる能力があるという意味でどちらの文も使えます。

 標準語では、
 ①は最後までやり通すことができるという意味で、この形が使えます。

 ②のように能力を表す意味では 「食べきれる」は言えず、「食べられる」という可能の形で使います。

 「この水は飲める」 のように、水の特徴を表す場合は、 ウチナーヤマトゥグチも標準語と同じです。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑫、沖縄タイムス 1/5 )  


Posted by ミチさん at 23:53Comments(0)しまくとぅば

2009年01月05日

『クルハズ』

 標準語には「だろう、と思う、のようだ、らしい、にちがいない、するはずだ」など、
推量を表す形が多くあります。

 そのうち「するはずだ」は根拠があるときに用いる形で、
「大城さんは来るはずだ」と言うと、例えば本人から電話があったなど、来ると思う根拠があって、80%ぐらい確実な推量です。

 ですが、ウチナーヤマトゥグチの「クルハズ」は、
根拠のあるなしに関係なく使用できて
結果として、大城さんが来なくても問題になりません。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑪、沖縄タイムス 1/4 )


  


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2009年01月05日

『シヨーネ』

『シヨーネ』 

 標準語の「しよう・しましょう」は

①「今日こそは告白しよう」(話し手の意志)や

②「一緒に帰ろう」(聞き手を誘う)のように意味が2つあります。

 終助詞 「ね」 は聞き手に対する念押しの意味を表すので、①に付くことはありません。

 しかし、
 ウチナーヤマトゥグチの終助詞「ネ」は、①にも付くことができ、聞き手に自分の意志を伝え、軽く念を押します。

 「ノモー(飲むよ)」「イキマショー(行きますよ)」と言うと、県外出身者は誘われていると受け取りますが、けっして誘っているわけではありません

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑩、沖縄タイムス 1/3 )



  


Posted by ミチさん at 18:22Comments(0)しまくとぅば

2009年01月05日

『タクシーカラ 来た』 

『タクシーカラ 来た』 

 ウチナーヤマトゥグチでは、助詞のなかでも 「カラ」 は特徴があります。

 「横断歩道カラ 歩く」 「人の前カラ 通るな」 は、<移動する場所(標準語では「」)>、

 「もっと後ろカラ 見る」は、<動作をする場所(「」)>、

 「タクシーカラ 来た」は、<動作の手段(「」)>。

 また、「夜カラ 外出する」のような、<時間(「」)>などがあります。

 標準語では別の助詞で表す意味をウチナーヤマトゥグチでは「カラ」1つで表せます。 方言の意味をそのまま引き継いでいるためです。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑨、沖縄タイムス 12/31 )



  


Posted by ミチさん at 18:08Comments(0)しまくとぅば

2008年12月31日

『チリバコ』  『チョンチョン』

チリバコ

 標準語では「ちり」は細かいごみやほこりのことを指します。方言ではごみのような、形のある大きいものも「チリ」と言えます。
ですから、ウチナーヤマトゥグチでは「チリバコ(ごみ箱)」と言っても違和感がありません。県外から来た人は、細かいほこりだけを集める箱があるのかと、戸惑うかもしれません。

 ほかにも「あざ」と「ほくろ」、「ひざまずく」「こぼす」「これ、あれ」などは、標準語と意味がずれて使用されています。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑦、沖縄タイムス 12/29 )



チョンチョン

 雨だれの落ちる音は標準語では「ぽたぽた」。ウチナーヤマトゥグチでは「チョンチョン」です。

 擬声擬態語は、方言の形をそのまま引き継いでいます。

 風が強く吹くさまは「バーバー(びゅうびゅう)」、せき込む音は「オホオホ(ごほごほ)」、騒がしい様子は「ワサワサ(ざわざわ)」。

 擬声擬態語は感情と結びついていて、簡単に言い換えられません。

 沖縄の人にとっては、「腹が立つ」と言うより、「ワジワジー スル」が微妙なニュアンスまで伝えられる気がします。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑧、沖縄タイムス 12/30 )  


Posted by ミチさん at 23:07Comments(0)しまくとぅば

2008年12月29日

『チムムチガフー』

心がけというか、心の持ち方のことである。

 心がけがよいと、それにともなってよいことが訪れる。沖縄の昔のイクトゥバ(言い伝え・ことわざ)にも 「肝持ち果報(チムムチガフー)」 というのがある。 

 こと改まって言うまでもないことだが、チムは沖縄では肝臓だけをさすのではない。一般に心、情け、心情をさすことが多い。それだけに昔の人々はチムを大事にしてきたのである。

 若い間は、カーギシガタ、容貌に魅力を感じるものだが、世の荒波を渡っているうちに心情がいかに大切なのかがわかってくる。清らかな温かい心を持っていると、きっと幸せがやってくると教えてくれる。

 それが、チムムチガフーである。


 昔の人のイクトゥバっていいね。(黄金言葉という人が多いが、いかにも大仰だから、かたくなに使わないでおく)

 好きな琉歌チムヌムティナシ を歌ったのがある。ご存じ、仲村渠節(なかんかりぶし)である。

    肝のもてなしや 竹のごと直ぐく
    義理の節々や 中にこめて
    
  歌うときは、こう読む。
    チムヌムティナシヤ ダキヌグトゥスィグク
    ジリヌフシブシヤ ナカニクミティ

  歌の意味は、心、情愛の持ち方はぶれずに、竹のようにまっすぐ伸びて、人として守るべき道筋は行いの中にこめて世の中を渡りたいという願いになろうか。

 テレビや新聞のニュースで見る限り、昨今の世上はぎすぎすして、チムムチがないがしろにされている。殺伐すぎる。 

 今の世の中、お金がなければ暮らしていけないことは確かだ。お金は必要である。しかし、あまりにも、金、金、金。心はすべて金に向いている。

 今のままだと、沖縄の大事なチムはどこに行くのであろうか。“肝持ち果報”を信じる人はいなくなる。こんな不景気な世の中だ。チムグクルなんて言っておれるか、というのであれば心寂しいかぎりだ。

 でも、やはり思う。こんな世知辛い世の中だからこそ、逆にチムムチを大切にしたいものだと。


   子(にー)年ん終わてぃ、来年や丑(うし)年ないびいぃん。

     牛のようにたくましく、どっしりと構えて生きていきたいものです。


   また やーん いーちぇー うがなびら

 (儀間 進・エッセイスト、“語てぃ遊ばな シマクトゥバ” 、沖縄タイムス 12/28 )
  


Posted by ミチさん at 20:58Comments(0)しまくとぅば

2008年12月28日

『方言のアクセント①②』

 ことばのなまりというとき、私たちは方言的なアクセントを指していることが多いです。標準語のアクセントを習得するのはなかなか難しいものです。なぜなら、アクセントには、型(高低のパターン)と、単語のグループ(2音節は5グループ)があり、それが組み合わされるのですが、標準語と方言とでは、その組み合わせが異なるからです。

 例えば「鼻」と「花」。大きな違いは、標準語は必ず1拍目と2拍目が異なる高さになりますが、方言はそうならないことです。次回に例を出して説明します。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑤、沖縄タイムス 12/27 )


 2音節の単語の助詞がついた形(標準語「が」、首里方言「ヌ」)を例にして、単純化して比べてみましょう。

 「①鼻が、②音が、③花が、④船が、⑤雨が」は、
標準語では、①低高高、②③低高低、④⑤高低低、
首里方言では、①②高高低、③④⑤高高高と発音されます。

 実際に発音して比べてみると、違いが分かると思います。

 方言世代は各方言のアクセントが、ウチナーヤマトゥグチになってあらわれます。
 若者層は、混同し、単純化が起こって、無アクセントになっています。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ⑥、沖縄タイムス 12/28 )
  


Posted by ミチさん at 20:49Comments(0)しまくとぅば

2008年12月27日

『ジェッタイ』

 多くの方言ではサ行は 「サ、シ、ス、シェ、ソ」、ザ行は 「ジャ、ジ、ジュ、ジェ、ジョ」と発音されます。

 方言を母語として身につけた世代の発音には方言の影響が強く残ります。例えば、
シン(写真)、シェシェイ(先生)、ソーユー(しょうゆ)、クライ(宿題)やジャンパン(残飯)、ミジュ(水)、ジェッタイ(絶対)、ジョーリ(ぞうり)のように。

 「スクライ」となるのは d と r の区別がない(前回紹介)ためです。最近はこのような発音は聞かれなくなりました。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ④、沖縄タイムス 12/26 )
  


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2008年12月26日

『テイレンシテ  ドーソク  ツケタ』

 琉球方言は d と r の区別がはっきりせず、単語の始め(語頭)では d 、単語の途中(語中)や終わり(語末)では r になる傾向があります。それで「テインシテ  ーソク  ツケタ(停電してロウソクつけた)」になるわけです。

ディッパ(立派)、ドゥスバン(留守番)、コモ(こども)など、方言を話せる世代によくみられた発音です。

先日もラリルレロの発音がおかしい中学生がいると聞きましたから、方言の影響が強い地域ではまだみられるようです。


(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ③、沖縄タイムス 12/25 )
   


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2008年12月25日

『ハー イタイ』

 (琉球)方言では、
「ミー(目)、ハー(歯)、ティー(手)」と、
1音節の短い単語を長く発音する特徴があります

 方言の 「ハー ヤムン(歯が痛い)」 は、また、助詞(「が」)をつけませんから、ウチナーヤマトゥグチでは、その特徴を引き継いで 「ハー イタイ」 となります。

 「アタマ イタイ(頭が痛い)」 のように、2音節以上でも助詞は抜け落ちます

 これは、方言を話せない世代にもしっかりとあらわれます。

 南米移住者の2、3世の日本語学習にもみられました。

(高江洲頼子・沖大教授、“ちゅくとぅば” ②、沖縄タイムス 12/24)

  


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2008年12月25日

ウチナーヤマトゥグチ講座が始まるよ!

標準語の母音 a,i,u,e,oは、沖縄方言では a,i,u,i,uと、3母音であらわれます。例えばウディ(腕)、シ(星)、ククル(心)のように。
e,oという母音は特別な発音で、標準語的です。
標準語に接する機会もなく、方言だけを話してきた世代は、ワ(皺)、デワ(腕輪)、ワル(座る)のようなウチナーヤマトゥグチをつくりました。

この類推(過剰一般化)による、方言でも標準語でもない形は、現在ではみられなくなりました。(“ちゅくとぅば” by 沖大教授・高江洲頼子①『オデワ』)


沖縄では、伝統方言を自由に使えるお年寄りも、聞いても外国語のようでわからない子どもでも、標準語を話すとき、たいてい方言の影響を受けた「ウチナーヤマトゥグチ」になります。

方言の影響によって、標準語とどのようにずれているか、これから15回にわたり紹介したいと思います。

新執筆者紹介:
高江洲頼子(たかえす・よりこ)
  1958年生まれ。沖縄市泡瀬出身。
  沖縄大学教授。
  論文に「ウチナーヤマトゥグチ」「渡名喜方言の助詞について」「世界のことば・辞書の辞典」(共著)など。
               (沖縄タイムス 12/23朝刊より)
  


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2008年12月24日

『チムグクル デーイチ』

沖縄タイムズの朝刊1面に、毎日掲載されている、シマ言葉のコラムがある。

12月を担当してきた伊狩典子さん(方言キャスター)の最終回がこの言葉。



最終回の題名は何にしようか思案した結果、ひらめいたのが、先人の魂が宿る黄金言葉、「チムグクル デーイチ真心が一番大切)」という語句だった。

対人関係の大切さを語ってくれた父母。そして戦後63年を経た沖縄だからこそ、「命どぅ宝」を原点に平和を創造する力があると思う。

チムグクル デーイチ」だという先人の魂を受け継ぎ、次世代につなぐ決意と、読者への感謝を申し上げ、筆を置きたい。


・・・・・・・ 転載ここまで ・・・・・・・



グスクのガイド仲間の合言葉がこの チムグクル デーイチ です。

とにかく “今帰仁グスクに来てよかった”
“ここで話が聞けてよかった” と思っていただけるよう、お客様との出会いを大切にしています。




  


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